.. highlight:: none 熱的純粋量子状態による有限温度計算 ---------------------------------- 杉浦・清水によって、 少数個(サイズが大きい場合はほぼ一つ)の 波動関数から有限温度の物理量を計算する方法が提案されました [1]_ 。 その状態は熱的純粋量子状態(TPQ)と呼ばれています。 TPQはハミルトニアンを波動関数に順次作用させて得られるので、 Lanczos法の技術がそのまま使うことができます。 ここでは、とくに計算が簡単な, micro canonical TPQ(mTPQ)の 概要を述べます。 :math:`|\psi_{0}\rangle`\ をあるランダムベクトルとします。 これに\ :math:`(l-{\mathcal H}/N_{s})`\ (:math:`l`\ はある定数、\ :math:`N_{s}`\ はサイト数)を\ :math:`k`\ 回作用させた (規格化された)ベクトルは次のように与えられます。 .. math:: \begin{aligned} |\psi_{k}\rangle \equiv \frac{(l-{\mathcal H}/N_{s})|\psi_{k-1}\rangle}{|(l-{\mathcal H}/N_{s})|\psi_{k-1}\rangle|}.\end{aligned} この\ :math:`|\psi_{k}\rangle`\ がmTPQ状態で、このmTPQ状態に対応する逆温度\ :math:`\beta_{k}`\ は 以下のように内部エネルギー\ :math:`u_{k}`\ から求めることができます。 .. math:: \begin{aligned} \beta_{k}\sim \frac{2k/N_{s}}{l-u_{k}},~~ u_{k} = \langle \psi_{k}|{\mathcal H}|\psi_{k}\rangle/N_{s}.\end{aligned} そして、任意 [2]_ の物理量\ :math:`\hat{A}`\ の\ :math:`\beta_{k}`\ での平均値は .. math:: \begin{aligned} \langle \hat{A}\rangle_{\beta_{k}} = \langle \psi_{k}|\hat{A}|\psi_{k}\rangle/N_{s}\end{aligned} となります。 有限系では最初の乱数ベクトルによる誤差がありますので、 いくつか独立な計算を行って、\ :math:`|\psi_{0}\rangle` に関する平均値および標準偏差を見積もっています。 実際の実装について ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 初期ベクトルの設定について ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^ 熱的純粋量子状態による有限温度計算では、初期ベクトルは全ての成分に対してランダムな係数を与えます。 初期ベクトルの係数の型はModParaで指定される入力ファイルの\ ``InitialVecType``\ を用い、 実数もしくは複素数の指定をすることができます。乱数のシードは\ ``initial_iv`` (:math:`\equiv r_s`)により .. math:: \begin{aligned} 123432+(n_{\rm run}+1)\times |r_s|+k_{\rm Thread}+N_{\rm Thread} \times k_{\rm Process}\end{aligned} で与えられます。ここで、\ :math:`n_{\rm run}`\ はrunの回数であり、runの最大回数はスタンダードモード用入力ファイル、 もしくはModParaで指定される入力ファイルの\ ``NumAve``\ で指定します。 ``initial_iv``\ はスタンダードモード用の入力ファイル、もしくはエキスパートモードではModParaで指定される入力ファイルで指定します。乱数はSIMD-oriented Fast Mersenne Twister(dSFMT)を用い発生させています [3]_ 。 また、\ :math:`k_{\rm Thread}, N_{\rm Thread}, k_{\rm Process}`\ はそれぞれスレッド番号、スレッド数、プロセス番号を表します。 したがって同じ\ ``initial_iv``\ を用いても、並列数が異なる場合には別の初期波動関数が生成されます。 .. [1] \S. Sugiura, A. Shimizu, Phys. Rev. Lett. **108**, 240401 (2012). .. [2] 局所的にという条件がつきます。 .. [3] \http://www.math.sci.hiroshima-u.ac.jp/m-mat/MT/SFMT.